「聴覚障害者」たちが困っている事、「手話」は何か、などアンケートの結果 コラムNo7-1

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以前、こちらでアンケートのご協力をお願いしていました。

ご協力して頂いた皆さん本当にありがとうございました。

アンケートは、400以上も来ました。

200ぐらい来ればいい方だと思っていたので、大変驚きました。

もう少し、色々と質問を書けばよかったかも知れません。

色々な方の意見や質問で大変興味深い内容がありましたので、私の意見も合わせて載せます。

どうぞ、お時間の有るときにゆっくりとご一読下さい。

アンケートに協力して頂いた方は、 聴覚障害者と聴者がほぼ半分という割合でしたが、女性が圧倒的に多かったです。

聴覚障害者の方が日常生活で一番困っていること、

困っていると思われることは何ですか?

回答の多い順番に並べました。

鉄道、バスなどの公共機関での放送(事故や遅延などの放送) 51.2%

後ろから近づいてくる車や自転車 38.3%

テレビに字幕がついていない 32.7%

病院などでマスクがあって口が見えない 32.1%

補聴器をつけているから聞こえていると思われて早口で話されること30.9%

町内アナウンスが聞こえない 27.5%

聞こえないから、手話がわかると思われていること 22.8%

お店などでスタッフが手話に対応できない 19.1%

宅配サービス、郵便局などの方が家に来たときに話が通じない 19.1%

子供の学校での事(参観日、面談、行事など) 18.5%

学校に必要な情報保証がついていない 18.2%

目覚まし時計などがあっても気付かなくて起きられない 14.2%

その他 14.5% 

その他の内容

職場での雑談を知りたいのに、会話に入ることが出来ず孤独感を感じる

職場での会議で、会議のレジュメがあっても、情報保障がないため、どこを話しているのか?がよくわからない。(テレビ会議だと尚更わからない)

耳が聞こえないということは、どういうことかなかなか理解してもらえない

病院などで行っている患者の会(例えばガンの患者の会とか)に手話通訳をお願いしたら拒否された 

情報保障をお願いしても、条件によっては断れることがある

家族が聴者で、自分1人だけがろう者。会話に入り込めず孤立。

中途失聴、難聴で聴力レベルによって級が異なるが、それだけで福祉の手当てや、情報保障が「ろう者」より乏しい

中途失聴、難聴は、ろう者と違って聞こえると思われ情報保障不要、努力が足りないといわれる

ろう者には、手話が必要という認識が不足しているのか、筆談で大丈夫だと言われ困る

火事などの緊急時の避難時の呼びかけが聞こえない、わからない

聴者のルールがわからない

場の状況がわからず、どう対応すればいいのかわからない

暗黙の了解が聴者には通じるが、聴覚障害者には通じないということを知らない人が多い

誰でも読唇(唇の動きを読み取って何を言っているのかを理解すること)が出来ると思われている

夜間などに緊急時が発生した時の連絡手段があまりない

大きい声、耳元で話せばいいとおもわれていること

補聴器=聴者と同じように聞こえるもの、と思われていること

聴覚障害者同士、または関わる人同士でも認識の違いや互いの立場での理解不足や誤解もあるということをしってほしい

地域によって手話も異なるところがある、「日本語対応手話」と「ろう手話」があるので覚えるのが大変だ

字幕表示ができないリモコンのある(またはその設定をさせないようにする)テレビを置いているホテルが多い

手話通訳者、要約筆記者が不足している

情報保障を依頼する際の報酬が高すぎる

ろうあ連盟や難聴協会などの協会で閉鎖的なところがあるので、みんなが気軽に入れるようにして欲しい

字幕付きの映画が少なく、楽しめない

盲ろう者がいるということも知って欲しい

聞こえない人に話すということは、歩けない人に歩けと言っているようなもの

電話が出来ないのに電話が出来ると思われていること

口語(口で話す事)はどんなに頑張っても限界がある

中途失聴だから、話していくうちに聞こえていると思われて早口で話されてこまる

大勢の中でみんなの口を読み取るのに疲れてしまう

※情報保障(じょうほうほしょう)

身体的なハンディキャップにより情報を収集することができない者に対し、代替手段を用いて情報を提供すること。

情報保障とは、人間の「知る権利」を保障するもの。

いつでも、誰も情報が伝わらない状況に陥る可能性がある。

特に聴覚障害者は、音声によって提供される情報や会話を理解できないため、日常的に情報から疎外されているといえる。

そのため、一般的に「情報保障」とは、聴覚障害者に対するコミュニケーション支援を指して用いられる。

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こうしてみると、いかに聴覚障害者が様々な場面で困っている事は何か?がよく分かると思います。

聴者の方から見ると、当たり前に思っていることが、私達聴覚障害者たちにとってはそうではなく、不便を感じたり不快感を感じることがあります。

鉄道、バスなどの公共機関での放送(事故や遅延などの放送) が51.2%と多かったのですが、私も乗っていた電車が人身事故を起こして緊急停止になった時に、何が起きたのかわからず、周りの人を見るしかなかったです。

ドアが開いて、みんなが降りているのはわかったけど、その後がわからない。

親切な女性が、丁寧に説明して下さって、初めて人身事故を起こしたこと、振り替え輸送で近くの別の鉄道の電車に乗ること、、、、そのやり方など何から何まで初めての経験でその方がいなければ帰れなかったと思う。

本当に、こういうときの状態ではみんなパニックになっているか自分のことで必死になっているから聞こうとしても教えてくれない人もいると思う。

もし、おろおろしていたり「あの、、、」って話しかけて来る人がいたら、立ち止まって「どうかされましたか?」っていう声かけをして頂けたら嬉しいと思います。

あと、『聴者のルールがわからない』これについてはまた別のコラムで書かせて頂きたいと思います。

ところで、視覚障害、肢体障害の体験はアイマスクとか電気を消すとか、車椅子にのるとかで体験をすることが出来ます。

しかし、「音が聞こえない」という体験は、どうしても難しいです。

なぜなら、どんなにヘッドホンをしても耳栓をしても隙間から音が聞こえてきます。

テレビの音を消して、字幕なしで好きな番組を見るという方法が一番わかりやすいかもしれません。

聞こえない人でも、色々な人がいます。

大きく分けて「ろう者」「中途失聴者」「難聴者」「老人性難聴」とあります。

こちらに詳しく書かれていますので、ご覧下さい。

「聴覚障害者とは」

聴力のレベル、いつ聞こえなくなったか、などで受ける福祉の制度も異なったり情報保障をどこまで必要としているのかが理解されなかったりします。

私は、人工内耳の方でも中途失聴の方でも「聞こえない」のは「聞こえない」と思っています。

分かりやすい言葉で言うとその人がその場で必要としている情報が100%完璧に取得されていないということです。

100%完璧に情報を取得するためには、1人1人のレベルに合わせた、情報保障と周囲の理解が何よりも大事だと思います。

周りの人に、自分がどれだけ聞こえないか、何の情報保障がどのように必要なのか?を伝えることは、とても勇気がいることだと思います。

でも、別に恥ずかしいことではありません。

なぜなら、聞こえる人も事故、病気、加齢などで聞こえなくなる可能性もなくはないからです。

聞こえない人が、どう感じているのか? 補聴器があるから、聞こえていると思っている方は、改めてもう一度、その方に尋ねて見て下さい。

その「思い込み」がお互いのズレを生んでいるかもしれません。

テレビと映画の字幕については、のちほど別のコラムで取り上げたいと思います

手話が「言語」であることを知っている。

96.9%が知っていると回答。

知らないと述べた人の中にも、聴覚障害者がいたので、全ての人にもっともっと呼びかけたいと思う。

また日本手話(ろう手話)は、日本語とはまた別の言語です。

手話は、言語学的には、音声や文字を媒介とする言語と同じ緒特徴を共有する記号体系です。

1960年にギャローデット大学の言語学者、ウィリアム・ストーキー(William Stokoe)が

Sign Language Structure: An Outline of the Visual Communication Systems of the American Deaf (手話の構造)

という論文を発表。

手話は、音声言語と変わらない、独自の文法を持つ独立言語であるという内容。

これをきっかけにして1970年代以降、手話を言語学としての研究対象とする学者が増え、現在では、言語学者の間で「手話が言語である」というのは常識になっている。