新潟で6月に難聴者の世界を知ってもらうための体験会がありました。

「難聴」ってどんな感じなんだろう?

聞こえにくいって?聞こえないって??


難聴者の世界をVRで体験 ~新潟~

音は聞こえるものの、ことばが聞き取りにくいとされる聴覚障害のひとつが『難聴』です。音やことばは 難聴者にどう聞こえているのかを、バーチャルリアリティー、いわゆるVRの技術を使って 知ってもらおうという取り組みが始まっています。

先月(6月)、新潟市内で行われた難聴の体験会。

参加者がバーチャルリアリティーで体験しているのは、難聴の人が実際に見たり聞いたりする世界です。

『ご注文はおきまりですか?』

例えば、カフェでのこのような問いかけも、難聴に多いとされる、高音が聞こえにくい人の場合は、こもった音に聞こえてしまいます。

家族との団らんも モゴモゴとした音にしか聞こえず、道路でも、車の気配は全く感じません。
新潟大学医学部 耳鼻咽喉科の医師、泉 修司さんは「こういうことで困っていると認識してもらうには、口で説明するより、目で見て聞いてもらうほうが早い。 “音は入るけど聞こえない” というのは、すごく精密に調整されているので、いいなと思った」といいます。

このVRを制作したのは、牧村正嗣さん。

きっかけは、重度の難聴と診断された娘の存在でした。娘がどんな音の世界を生きていくのか知りたいと強く思ったといいます。

しかし、リアルに体験できる機会がないと感じた牧村さんは、映像制作の仕事で培ったノウハウを生かし、このVRを制作しました。

「聞こえる人、聞こえない人、その境界線とか壁がなくなるといい。聞こえにくい人と出会ったときに、『あの時 ああだったな』と思い出してくれるだけで全然違う」

体験会に参加した富樫梨沙さんは、長男の壱くんが、2歳の時に難聴と診断されました。

富樫さんは絵カードを100枚以上手作りして、親子のコミュニケーションを補っています。

難聴についてもっと理解を深め、更なるサポートにつなげたいと考えています。

「本人がどれだけ聞きづらさを感じているかは、想像ではわからないことだった。VRでそういうところがわかれば 私たちができることが増えると思って、受けてみたいと思った」

実際に体験した富樫さんは「私たちが想像している以上に不安。車が来てびっくりしたり・・・、そう思っていることがたくさんあると思うと、私たちが気をつけてみてあげないといけない」と話していました。

医療現場からも注目を集めるこのVR、より多様な難聴に対応できないかと期待を寄せられています。

参加していた医師たちからは「高音をカットする以外にも聞こえにくい要素がいっぱいあって、それがうまく再現できるとすごくいい」 「耳鳴りのリハビリができたらと考えている」という声が聞かれました。

牧村さんは今後、医師などの声も取り入れ、改良を重ねたいと考えています。

「体験したことによって、それをみんなで共有して 話し合いをするとか、新しいアイデアが生まれるとか、きっかけには すごくいいツール。体験する内容も増やしていきたい」と話していました。

牧村さんは、学校の教室や電車の中などでも難聴の世界を体験できるよう、さらに開発を進めていきたいということです。

問い合わせ先

◇VRについて

 「株式会社シー・エヌ・エス」

 E-mail:info@cnsinc.jp

 ※件名に「Deaf VR」と入れてお問い合わせ下さい。

画像は、難聴者の世界をVRで体験 ~新潟~ | おはよう日本 関東甲信越からのスクショです