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聴覚障害者の参政権、政見放送・街頭演説に然るべき配慮が十分にあったか?

聴覚障害者にも、参政権を有します。しかし、それを適切に行使するには、本人が100%理解した状態でなければならない。例えば、候補者が街頭演説を行っている場合、手話か音声認識アプリなどを使わなければ何を話しているのかも分かりません。昭和58年まで「立会演説会」と呼ばれる演説会には手話通訳が付いていました。この「立会演説会」が公職選挙法改正で昭和58年に廃止されたのちに、「政見放送」が出来ました。「政見放送」では、下の①―④には、政党・候補者の判断により手話通訳を付けることが可能でした。①衆議院「小選挙区」②衆議院「比例代表」③参議院「比例代表」④都道府県知事選挙しかし参議院「選挙区」だけが、2016年まで長い間認められませんでした。2018年にようやく公職選挙法改正がされ、全ての候補者の政見放送などに手話通訳、字幕がつくと思われたが、実際の放送は候補者によって対応が異なり、聴覚障害者への情報保障は十分とはいえなかった。今回から参院選選挙区の政見放送は、放送局で収録する従来の「スタジオ録画方式」に加え、候補者が独自収録した映像を流す「持ち込みビデオ方式」も選べるようになった。衆院選の小選挙区では1996年から導入されており、候補者側が制作段階で手話通訳や字幕を付けることができるが、全員ではなかった。法律では手話通訳者は「選挙運動員」かどうかがよく話題になりますが、手話通訳者は公職選挙法でも分かりにくい立ち位置にあります。公職選挙法第197条の2(実費弁償及び報酬の額)によると、「報酬を受取ることができる人」を厳格に定めており、候補者の出陣式等で手話通訳をするために手話通訳者が雇われた場合には、報酬を受取ることが認められています。ただ、その立場は「選挙運動に従事する者」とされ、いわゆる「選挙運動員」の扱いとなる。つまり政治からは無関係、公正・中立の位置に立つべき手話通訳士が特定の候補者の代弁者とみなされることになり、誤解が生じる。政見放送【選挙ミニ事典】 時事ドットコムより2018年の法改正により参院選挙区の候補者の政見放送について、スタジオ収録に加えて自前の動画持ち込みが可能となった。映像に手話通訳や字幕を付けられ、聴覚障害者らが候補者の主張を理解しやすくなる。参院選挙区以外は、手話通訳か字幕の一方を付与できる。衆院小選挙区は持ち込みが既に認められているものの、衆参の比例では認められていない。持ち込み動画の録音・録画費用は、1人当たり約290万円まで公費負担される。「放送の品位」を保つとの理由から、持ち込みは政党公認・推薦の候補者に限られる。ところで、政見放送の手話通訳を担える手話通訳士については厳しい条件がある事も知っていましたか?過去5年間に政見放送研修会を受けた手話通訳士でなければならないということです。しかし、今回の参院選の候補者、政党による各地での街頭演説での手話通訳については、事前に準備されていなかった面も大いにあったと思います。ここも、今後の大きな課題になりそうですね。また、難聴者、中途失聴者などの手話を理解することのできない人に対しても、「字幕」が必要な配慮であるにもかかわらず、それが出来ないということも、皆で次回のためにも訴えていかなければならないと思います。参考リンク聴覚障害者の参政権について-「無言の政見放送」事件-参院選・選挙区の政見放送にも手話通訳 バリアフリー進むも候補者によって対応割れる

【イベント情報】第2回聴覚障害当事者研究シンポジウムのご案内

自分の奥にある困りごとやもやもやを言葉にしてみませんか。自分自身との対話で、そんな思いや気持ちを見つめ、言葉にし、受けとめ、解消の糸口を探ってみませんか。昨年、一週間で定員70名に達した日本初の「聴覚障害×当事者研究」シンポジウム。第2弾を今年も宮城教育大学で開催します。2回目となる今年は、宮城教育大学に在籍する学生(真壁詩織さん)の聴覚情報処理障害から、難聴ママのあっぱれ子育て(志磨村早紀)、音を失う身体と心(松森果林)、親子関係の紡ぎ直し(松﨑丈)、ろう学校生徒と紡ぐ実践例(西垣正展)までと、多様な話題提供があります。基調講演には、当事者研究の専門家である熊谷晋一郎先生をお迎えし、話題提供へのコメントとともに、聴覚障害当事者研究の実践から見えてきたことについてお話いただきます。自分のことは案外自分でも分からないものです。参加されたみなさんの「困りごと」をどのように見つめ、「研究」することで、自分にあったわかりかたや生きやすさを見出していくのか、一緒に考えてみませんか。「自分を知る」ということは、どんな可能性につながってゆくのでしょうか。=定員は150名、先着順ですのでお早めにどうぞ!日時:2019年9月29日(日)10:20~16:00会場:宮城教育大学220教室参加費:500円申込み:第2回聴覚障害当事者研究シンポジウムdtks2019★gmail.com (★を@に変えて下さい)以下の内容をメールでお送りください。①氏名②所属③必要とする合理的配慮④連絡先(メールアドレス)⑤目的やコメント等

【災害情報】気象庁での緊急記者会見には手話通訳がつきます。実際に中継された動画を2つ掲載していますが、どちらが見やすいですか?

気象庁では、平成31年3月25日以降に緊急記者会見を開催する際に手話通訳者を試行的に配置することとします。これは、聴覚に障害をお持ちの方が地震等の防災情報に接する際のアクセシビリティ向上を図るための取組です。気象庁では、全日本ろうあ連盟と協力しながら、気象庁の緊急記者会見に際して、聴覚に障害をお持ちの方が防災情報に迅速かつ的確に理解するための課題等を抽出し、今後の手話通訳の本格導入を目指して取り組んでまいります。なお、実施時間帯は、当面の間、日中時間帯(9時~18時)に緊急記者会見を開催する場合とします。※緊急記者会見とは、以下の場合に緊急に開催する記者会見のこと。・国内で震度5弱以上の地震が発生した際・大津波警報・津波警報、津波注意報を発生した際・噴火警報(レベル3相当以上)を発表した際・気象に関する特別警報を発表した際・社会的影響の大きな現象(台風、大雨等)が発生または予想された場合緊急記者会見への手話通訳者配置の試行について~聴覚に障害をお持ちの方の情報アクセシビリティの向上を目指して~ー2019年5月10日に発生した九州南部の地震で初めて手話通訳付きの緊急記者会見がありました。気象庁、緊急記者会見に手話通訳導入 10日の九州南部の地震で初めてー以下に2つの実際にライブ中継された動画のリンクを貼りつけますが、皆さんはどちらの方が見やすかったでしょうか?

新潟で6月に難聴者の世界を知ってもらうための体験会がありました。

「難聴」ってどんな感じなんだろう?聞こえにくいって?聞こえないって??難聴者の世界をVRで体験 ~新潟~音は聞こえるものの、ことばが聞き取りにくいとされる聴覚障害のひとつが『難聴』です。音やことばは 難聴者にどう聞こえているのかを、バーチャルリアリティー、いわゆるVRの技術を使って 知ってもらおうという取り組みが始まっています。先月(6月)、新潟市内で行われた難聴の体験会。参加者がバーチャルリアリティーで体験しているのは、難聴の人が実際に見たり聞いたりする世界です。『ご注文はおきまりですか?』例えば、カフェでのこのような問いかけも、難聴に多いとされる、高音が聞こえにくい人の場合は、こもった音に聞こえてしまいます。家族との団らんも モゴモゴとした音にしか聞こえず、道路でも、車の気配は全く感じません。新潟大学医学部 耳鼻咽喉科の医師、泉 修司さんは「こういうことで困っていると認識してもらうには、口で説明するより、目で見て聞いてもらうほうが早い。 “音は入るけど聞こえない” というのは、すごく精密に調整されているので、いいなと思った」といいます。このVRを制作したのは、牧村正嗣さん。きっかけは、重度の難聴と診断された娘の存在でした。娘がどんな音の世界を生きていくのか知りたいと強く思ったといいます。しかし、リアルに体験できる機会がないと感じた牧村さんは、映像制作の仕事で培ったノウハウを生かし、このVRを制作しました。「聞こえる人、聞こえない人、その境界線とか壁がなくなるといい。聞こえにくい人と出会ったときに、『あの時 ああだったな』と思い出してくれるだけで全然違う」体験会に参加した富樫梨沙さんは、長男の壱くんが、2歳の時に難聴と診断されました。富樫さんは絵カードを100枚以上手作りして、親子のコミュニケーションを補っています。難聴についてもっと理解を深め、更なるサポートにつなげたいと考えています。「本人がどれだけ聞きづらさを感じているかは、想像ではわからないことだった。VRでそういうところがわかれば 私たちができることが増えると思って、受けてみたいと思った」実際に体験した富樫さんは「私たちが想像している以上に不安。車が来てびっくりしたり・・・、そう思っていることがたくさんあると思うと、私たちが気をつけてみてあげないといけない」と話していました。医療現場からも注目を集めるこのVR、より多様な難聴に対応できないかと期待を寄せられています。参加していた医師たちからは「高音をカットする以外にも聞こえにくい要素がいっぱいあって、それがうまく再現できるとすごくいい」 「耳鳴りのリハビリができたらと考えている」という声が聞かれました。牧村さんは今後、医師などの声も取り入れ、改良を重ねたいと考えています。「体験したことによって、それをみんなで共有して 話し合いをするとか、新しいアイデアが生まれるとか、きっかけには すごくいいツール。体験する内容も増やしていきたい」と話していました。 牧村さんは、学校の教室や電車の中などでも難聴の世界を体験できるよう、さらに開発を進めていきたいということです。問い合わせ先◇VRについて 「株式会社シー・エヌ・エス」 E-mail:info@cnsinc.jp ※件名に「Deaf VR」と入れてお問い合わせ下さい。

【災害情報】聞こえる人も聞こえない人も読んで欲しい投稿文です。

今村 彩子さんの投稿文をシェアします。台風が近づいていて大丈夫かなと心配に思う日ですが・・・こないだの広島市ろうあ者福祉大会での講演でお話しした内容を載せます。講演では、東日本大震災、熊本震災、そして、広島ろう災害ボランティア活動を取材して感じたことをお話ししました。【東日本大震災 ~被災者の中には耳の聞こえない人もいる~】被災者の中に聞こえない人もいること、そして、彼らが地震直後、避難所や復興アパートでの生活でどんなことで困るのか、どのような支援が必要かを知りました。【熊本震災 ~受援力~】被災したろう者を支援した方々が「受援力」が必要だと話してくれました。「耳が聞こえない」といっても、ろう、難聴、中途失聴、盲ろうがあり、それぞれコミュニケーション手段も異なります。更に、難聴でも、生まれつき難聴、中途による難聴、高齢による難聴と分かれます。盲ろうはもっと幅広く、目と耳、両方とも先天性なのかそれとも後で耳が聞こえなくなったのかなどによって触手話、点字、大文字による筆談とコミュニケーションの方法は一人ひとり異なります。自分に合った支援を受ける、コミュニケーションをとるためには、周囲にそのことを説明する力が必要です。「耳が聞こえないから困っている」だけではなく、具体的に「私は手話通訳が必要です」「要約筆記をお願いします」と内容を伝えるのです。また、自分は聞こえるから大丈夫と思い込んでいると必要な支援が受けられません。「私だけでなく、周囲も大変だから」と我慢し続けると自分が疲れてしまいます。【西日本集中豪雨 ~助けてもらう側だけではない、助ける側にも立てる~】西日本集中豪雨で被災した聞こえない人の状況を取材しようと訪れたところ、私が目にしたのは、ろうボランティアの姿でした。ろう家族の家での作業が落ち着くと、一般の家にも出向き、活動していました。手話ができる人と同行すれば、ろう者もボランティア活動ができると広島県ろうあ連盟は、独自でボランティアセンターを立ち上げたのです。これは全国初の取組みで、障害者団体の中でも画期的な出来事です。そのため、新たな課題が出ていました。聞こえる人は、まさか聞こえない人がボランティア活動に来ているとは思いません。そのため、挨拶しても返事がない、無視されたというトラブルが起きました。それを受けた広島県ろうあ連盟職員の横村さんが「私は聞こえません」と書かれたビブスなどをつけて周囲に自分のことを伝える必要があると話していました。講演会場に横村さんの姿があったので、尋ねたところ、ビブスは返却、管理をしなければならず、負担がかかるので服に貼るシールを作ったとのこと。シールであれば、返してもらう必要もなく、災害ボランティア活動をしたという記念にもなります。次回のボランティア活動のために印刷して準備してあるそうです。横村さんに「ぜひ、そのシールを見たいです」と伝えたら、メールでシールの写真を送ってくださいました。シールに名前を書く欄もあるのが、いいなと思いました。ボランティア先では作業先の家族との初対面となります。自分の名前を相手に知ってもらうだけでも、距離が縮むし、「○○さん、お願いします」「▽▽さん、ありがとう」と会話しやすくなります。私が去年の8月に取材した広島のろう災害ボランティア活動は下記でご覧になれます。【Yahoo!ニュース】助けたいという思いはろう者も同じ ~ 聴覚障害者団体として全国初の災害ボランティア活動 ~(今村彩子) - Y!ニュース https://news.yahoo.co.jp/byline/imamuraayako/20180823-00093236/

【災害情報】シェア転載・聴覚障害者のヒアリングサポート「CPR」